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> 林万昌堂
美味しさの秘密は河北栗子(かほくりーつ)にあり
いつも多くの人で賑わう四条通。行き交う人々を香ばしく甘い香りで魅了し続けているのが、「京の甘栗屋」として長きにわたって親しまれている「林万昌堂」さんです。
創業は明治7年(1874)。和菓子の街・京都にあって、甘栗で人気を博し続ける珍しいお店です。
「天津甘栗」の語源ですが、中国各地で集められた栗を天津の港で船積みしたので「天津甘栗」と呼ばれるようになったとか。
中でも中国北部の河北省で生産される栗は「河北栗子」(かほくりーつ)と呼ばれ、大変糖度が高く、風味も良く、その上害虫がつきにくく、また、水分の多い日本の栗に比べて焼いた際に渋皮が実にくっつきにくい事から焼き栗に最適と言われています。
4代目社長の林雅彦さんは、取材の数日前に中国での「河北栗子」の買い付けから戻って来られたばかりで、大変お忙しい中お答えいただきました。
林万昌堂で扱う栗は、全て、社長自らが毎年直接中国に買い付けに行き、ご自分の目と舌で確かめて選んでいるとのこと。「必ず栗の実をかじってみるんです。そして、割って断面の色もよーく見て…。」かつては内陸の生産地まで入ることを許されませんでしたが、ここ十数年で中国の自由化も進み、今では車で長時間揺られながらかなり奥地まで入らせてもらえるそうです。
社長の机のすぐ側には、「青龍満族自治県人民政府」との取引の認定証とともに栗の産地で採れた鉱石が置かれていました。河北の土地は決して肥沃ではなく、鉱石が採れるような所。しかし、だからこそ、ミネラルが豊富で、養分を一生懸命吸い上げるため、栗に甘みが凝縮されるとのこと。
林さんは、過去数年来、産地の行政の方々を実際に日本に招き、河北の栗がどのように日本で消費されるのか見てもらっています。現代日本を見てもらう事で、中国に市場の現状を知ってもらうのが狙いだとか。「虫食いや粒の不揃いなどを日本人がいかに嫌うのか、国によって異なる食に対する感覚を知ってもらうのに役立っているんですよ」。
四条通に面した林万昌堂本店
河北栗子(かほくりーつ)と読みます
4代目社長の林雅彦さん
そのお陰か、私も子供の頃から林万昌堂さんの甘栗にお世話になっていますが、一度も虫食いに当たった事がありません!それにどれも粒ぞろい。林さんのこうした陰の努力が美味しさと信頼を支えていたのには正直驚きました。
大きな釜で焼き上げられる栗。近寄るとすごい熱気です
いつも焼きたてだから、袋を抱えてもあったかポカポカ
渋皮もくっつくことなく綺麗にむけます、ハイ、この通り
甘栗の初物「新栗」を楽しもう!
今や年中口にできる天津甘栗ですが、甘栗にも「初物」があるのをご存じでしたか?
栗の買い付けは毎年9月末頃。10月には「今年の栗」が、およそ150トン輸入されます。これが、まさに「栗の初物」なのです。そういえば、社長席の後ろにあった今年のカレンダーには10月23日(日)に大きな○印と「新栗」という手書きの文字が。今年はこの日が新栗発売日に決まったそうです。
毎年どうやって新栗の日を決めるのかお聞きしたところ、面白い答えがかえってきました。「毎年10月中旬辺りの“大安の日”です。私たちにとってその日は新年みたいなものですから。」栗にとっての新年、だからお目出度い大安の日を選ぶ社長の深い思い―。本当にこれらの栗は愛され大切にされ、送り出されるんだなぁと実感しました。
ツヤツヤの甘栗。お土産におひとついかがですか
新栗の特徴は、何と言っても香り高いこと。この時期の栗特有の香りを楽しむのもまた素敵ではありませんか。
その後、栗は時間が経つに連れ、徐々に香りは落ち着くものの、今度は実が熟成して糖度がどんどん高くなり、これまた食べ頃になるのだとか。甘栗っていつも同じ味かと思いきや、一年を通して色んな時期に色んな風味を楽しめるんですね。
最近注目の一品、栗で作った炭・栗炭(くりたん)。脱臭・調湿効果あり。食べられませんのでご注意を!
今年から高知県産和栗でも甘栗に挑戦しました。(発売期間は終了しました)
人気の栗あいすはクリスプタイプ(左)とペーストタイプ(右)の2種類があります
疑わしいものは使わず〜栗本来の美味しさを守り続ける
本店の釜は大正時代の貴重なもの。今でも現役です!
林万昌堂では、朝7時から釜に火をつけます。釜をかき回す林さんの額にはすぐ汗が光ります。栗の水分量は季節によって微妙に異なるため、焼き加減は全て人間の経験と勘が頼り。一人前に焼けるようになるのに5年から10年はかかるそうです。
釜に水飴とキザラ砂糖を入れるのは、栗を焼く際混ぜる小石との比重を合わせるためで、栗の実に一切味付けはしていません。焼き芋と同様、遠赤外線の効果により、栗は自身の甘みをじわーっと増すのです。
林さんによると、代々言い伝えられてきた言葉に「疑わしい物は使わず」というものがあるそうです。言い換えれば、それは、必ず自信のあるものを使うこと。老舗の和菓子屋が居並ぶ京都で、こうして長きにわたって自然の味・栗そのもので人気を維持していらしたのも、栗に愛着を持ち、栗本来の美味しさを大切に守ってこられた賜物なのでしょう。
最近では市内の百貨店にも店を出し、買い物帰りのお土産にとますます人気の林万昌堂の甘栗。取材中、本店の釜の横で出来上がる栗をじっと待ち受ける青年を見かけました。彼は市内の百貨店に出来たての栗を運ぶ係だとか。昔ながらの通い帳を手に、多い日は一店舗5往復もするそうです。
そして、店頭には若い女性の売り子さんが三人。それぞれ、出来上がった栗を今一度目で選別し、袋に入れる人、包装する人、折り詰めをぶらりと下げるかのように紐で結ぶ人と、各自の役目をてきぱきと流れ作業で進めていました。
皆さんお若いのに受け答えがとてもしっかりされていて、自分達が扱う栗に対して誇りを持っていることがひしひしと伝わってきました。
こうして若者にも愛され支えられている林万昌堂の甘栗。きっと栗の美味しさを次の時代にもしっかりと伝え続けてくれることでしょう。
皆さんも、今度京都にいらしたら、是非一度、京の甘栗をお土産にどうぞ!
手際の良い流れ作業は見ていても楽しくなります
二階には茶房もあります
すぐ食べたい方はどうぞこちらへ
いつも出来たてほっかほか。だから喜ばれるのですね
( ライター:高橋知子 )
※この記事の情報は公開時( 2005-10-20 )のものです。
林万昌堂
京都市下京区四条通寺町東入ル御旅宮本町3番地
TEL : 075-221-0258
http://www.hayashi-mansyodo.jp/
阪急河原町駅よりすぐ
市バス四条河原町停留所よりすぐ
なし
10:00〜20:30
水曜日
>>詳細ページへ
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